2008年4月14日月曜日

サテライト水戸の動き

事業主体について」の記事で書いたように、サテライトつくばの事業主体は城里町にある日本最大級の競輪場外車券場サテライト水戸地図)を運営する業者とのことです。

週刊新潮3月13日号にサテライト水戸のことが紹介されているので読んでみましたが、いろいろな組織が入り乱れていて複雑で理解するのが難しいので、まとめてみます。

サテライト水戸は1998年8月にオープン、従業員約280人を雇用し、8年とちょっとの間に約2000億円の売り上げがありました。が、茨城新聞が2007年1月31日に「競輪組合が撤退意向」という記事を1面に掲載、8億円の累積赤字がかさんだために、三鷹や清瀬など都内8市からなる東京都市収益事業組合が車券販売事業からの撤退を表明しました。

全日本自治団体労働組合・全競労評議会のページによると、サテライト水戸の施設所有者である日新健商株式会社(社長:木元敏夫)が「東京都市収益事業組合及び立川市と平成19年度の施設賃貸契約を締結しない。ついては3月末までに投票機器、映像機器、事務機等を撤去するように」との通告をしてきたとのこと。評議会ではこの背景として「管理施行者を排除して運営したい」という施設会社(日新健商)の思惑があるとしています。

さらに、地方自治体によって開催されるはずの公営ギャンブルがなぜ民間会社の思惑により翻弄されているのかについては、全国場外車券売場設置者協議会が2006?年1月12日付で経済産業省の若井車輌課長に対して提出した質問書に対し、若井課長が
自転車競技法には、場外車券売場におけるいわゆる管理施行者に関する規定はなく、そのため、場外車券売場を設置した場合に必ず管理施行者を置かなければならないという義務は存在しない。したがって、自転車競技法には、場外車券売場における『管理施行者固有事務』も存在せず、例えば、場外車券売場の発売日数及び発売日程の決定、投票機器の所有及び管理について、管理施行者でなければ行うことができないものではない

と回答したことにある、としています。

この回答により、場外車券場における管理施行者の設置責任は宙ぶらりんの状態となり、施設所有者が一方的に自治体の投票機器等を排除し、自前の運営体制を確立できる根拠を与えたことになります。

週刊新潮の記事によると、日新健商はさらに「フォーク」という会社を相手に2007年11月8日付で民事訴訟を起こしています。このフォークの代表取締役が、立川市役所の公営競技事業部長だった関根吉雄氏という人物です。

訴状には

訴外組合と被告(フォーク)側の業務委託経営は、被告(フォーク)に対し車券総売上の5.5パーセントを支払うというものであり、本来、具体的実費額に手数料ないし正当な利益を基準に委託費を払えば足りるところを、敢えて総売上の5.5パーセントを支払うという極めて不透明で、かつ被告(フォーク)に莫大な利益が生ずる異常で不公正な契約形態となっていた

とあるそうです。日新健商の訴えでは、フォークから日新健商に対し、警備料等の料金の支払いが行われていない、とされています。

一方、株式会社フォークの代表取締役の関根吉雄氏はこの他にも、1998年のサテライト水戸の業務を請け負った「バンクサービス社」にも関わっていたと週刊新潮の記事にはあります。バンクサービス社の渉外担当として関根氏の息子さんが、経理担当として姪の方が就任されていたとのことです。さらにサテライト妙高の委託を受けていた「関東興業」の役員にも関根氏の名前があるとのことです。

全競労評議会の別のページにはこんな記述もあります。

一、6月23日付マスコミ各社で報じられた財団法人「産業研究所」をめぐる裏金づくりについては、まさに通産省・経産省が天下り先の確保を含めて交付金を食い物にしてきた実態を明らかにしました。
 この問題については、すでに1995年3月18日の朝日新聞記事(「ギャンブル益金は通産省の小遣い銭?」)、1997年2月21日の産経新聞記事(「補助金で潤う通産OB」)で問題を指摘されていたにもかかわらず、1976年の設立当初からつい最近まで継続的に行われていたことが明らかにされ、改めて私たちは強い憤りを覚えます。
 平成14年の法改正へ向けた検討の際には、私たちの指摘にもかかわらずこうした交付金の使途に関する検討はまったく行われませんでしたが、会計検査院による監査を含めて徹底的な洗い直しを行い、交付金を主たる財源として成立しているこれら財団法人については廃止を含めて抜本的な見直しを行われたい。
一、前回の法改正における交付金の軽減は残念ながら小規模にとどまり、その後の売上げ低下の中で競輪、オートレースの経営状況は再び悪化していることから、2号交付金の廃止を含めた交付金の更なる軽減を行われたい。
 とりわけオートレース事業については、本年4月からの大々的な構造改革によって一定の経営改善はされているものの、民有場では赤字構造を脱却できず、持ち場においても減価償却積立金を考慮した収支では赤字構造となっており、事業そのものが存廃の危機に瀕している状態に変わりはありません。
 平成16年度小型自動車振興会決算では補助事業積立金等の剰余金がオートの年度交付金総額の2年分に該当する80億円も残されていることから、事業存続の展望が明確になるまでの間、交付金については納付を免除するなど、大胆な政治的決断を行われたい。

公営ギャンブルには通産省・経産省、地方自治体、収益事業組合、全競労評議会、全国場外車券売場設置者協議会、などが、それぞれの立場で様々な思惑が複雑に入り乱れているようです。さらに、日新健商、フォーク、バンクサービス、関東興業、といった様々な周辺企業や、そこに登場する元自治体関係者などの人脈が複雑に入り乱れている、というのが実態のようです。

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